等身大ジャーナリズム

26歳、京都出身、滋賀在住です。

バイト代を飲酒に費やさない大学生はバイト先で笑われるらしい

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昔、バイト先の店長とこんな話をしたことがある。

 

店長は40代真ん中で妻子持ち、千と千尋に出てくる『オイしか言わない頭』みたいな丸いおじさんだ。

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(参照:https://twitter.com/tetudou1112

 

おれは職場で付き合いも悪く、下戸のためお酒を飲みにも行かずに、バイト代を貯金していた。

 

店長「バイト代、貯金してるんか」

おれ「はい」

店長「お酒も飲まへんうえに、遊んだりもせえへんのか? なにに使うんや?」

おれ「まあ、旅にでもいこうかと」

店長「たびぃww なんなんそれはww 自分探しの・・・的なww?」

おれ「(めんどくさかったので)はい」

店長「あのねえ、はっきり言っておくけど、自分探しの旅なんて、時間のムダ。止めとき。」

おれ「じゃあ店長は若い頃、なににお金を使ったんですか?」

店長「社長とかツレと酒を飲みに行ったり、そういうエロいお店に連れて行ってもらったりしたよ。

ほかにはバーを巡ったり、趣味が車だったから、ドライブに行ったりとかもよくしてた。

いま思えばぜんぶ良い経験になったよ。

なんかそういう趣味はないの?」

おれ「趣味は・・・、まあ旅と、カフェに行くことと読書ですね。」

店長「かふぇww」

 

このあと店長には笑われた。

そして旅と趣味を否定されて、くどくど説教された。

 

自分探しの旅に出ることは時間のムダなんだろうか?

お金を貯めて旅に出るより、その金でお酒を飲みに行った方が良い経験になるのだろうか?

読書とコーヒーに金を使うことは、笑えるほど面白いのだろうか?

 

おれはそう思わないが、この店長はそう思うらしい。

今日はこのことについて話をしてみたいと思う。

 

 

店長流の「ムダではない時間の使い方」「笑えるほどムダな時間の使い方」とは

 

店長いわく、

社長とお酒を飲みに行くこと、

ツレと居酒屋に行くこと、

エロいお店に行くこと、

バーに行くこと、

ドライブに行くこと、

 

はムダではない時間の使い方らしい。

 

そして

旅に出ること、

カフェに行くこと、

読書をすること、

 

は笑えるほどムダな時間の使い方らしい。

 

これは興味深い話だ。

そんな店長のバックグランドを詳しく説明しておく。

 

店長は現在、勤続20年のベテランだ。

妻と子どもがおり、一軒家住まいだ。

元々は中卒でイチ平社員だったそうだが、その人当たりの良さが功を奏し、新部署、新店舗立ち上げの際に店長に抜擢されたそうだ。

 

意外と悪くないじゃないか。

店長のようになりたければ、

旅に出ずに、カフェに行かずに、読書をせずに、

社長とお酒を飲みに行き、ツレと居酒屋に行き、エロいお店に行き、バーに行き、ドライブに行けばいいのか。

 

店長がどうだ、という話ではない。あくまで参考だ

 

おれは

おべっかを使いに社長と飲みに行きたいとは思わないし、

愚痴を言うためにツレと居酒屋に行きたいとも思わないし、

エロいお店にも(現時点では)幸い興味が無い。

バーは行ってみたいが、下戸なので悩んでいる。

ドライブはたまにしている。

 

そしておれは

旅に行きたいし、

カフェも好きだし、

読書が好きだ。

 

そういえばこんな話がある。

ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんの一番弟子である石井知彦さんは、鈴木さんにこう言われたらしい。

 

僕も当時22、23歳なんで飲み会に誘われるわけですよ。同世代飲み会。これは鈴木さんに同世代の飲み会に行くのを禁止されたんです。

 

「同世代が同じ夢を持って夢を語ってても、その世代にできることなんかないんだから人の悪口言ってるだけだろう。だから組むんだったら自分より上の人か、決定権のある人か、もしくは自分に持ってないものを持っている人か。同世代の飲み会っていうのは一番無駄だから行くな」って言われたんですね。 

 

参考:http://logmi.jp/175546

 

またハイパーメディアクリエイターの高城剛さんは「旅」に関するイベントでこのように話している。

 

じゃあ幸せってどうやってもたらされるか?というと、彼女はですね、なによりも「経験」だと。

旅行に代表されるような「経験」こそが人々を幸せにすると彼女はあらゆる側面から説いています。

確かにそうだと思います。

 

参考:http://miraie-future.net/feature/tsuyoshi-takashiro/5/

 

また「日本の若者は内向きだ」と批判するメディアや、

内向きを推進するかのような店長をよそ目に、 

シンガポールで起業したり、

アジア各国でイノベーションイベントを開催したり、

アジアの起業家を讃えるアワーディングイベントで日本人として初めて受賞された、

小林慎和さんは著書の中で以下のように語っている。

 

「日本の若者は内向き」という内容に、いつも首をかしげます。

 

悩みながらも果敢に海外に飛び出し、人生を模索する若者が多くいる

 

(私自身)バイトでお金を貯めては、バックパッカーで色々な国を旅しました。

 

参考:海外に飛び出す前に知っておきたかったこと

 

 そしてライフネット生命の出口治明さんは著書のなかで以下のように話している。

 

(大学時代、全共闘運動で授業がなくなったので)本にどっぷり浸かった生活で、1日14、5時間は読んでいたのではないでしょうか。

 

(社会人になって忙しくなり)「寝る前に1時間だけ本を読む」というルールを作りました。

いくら酔っていても、家に帰ってから必ず1時間本を読むようにしていました。

主として30代から40代前半のころのことです。

 

 参考:人生を面白くする 本物の教養 

 

もちろん、この人たちと店長を比べてどうだ、という話ではない。

そして、おれはこの人たちをマネている、というわけでもない。

あくまで、参考だ。

 

「他人の趣味を笑うほど否定したいのか」

 

家庭を持つ、一軒家に住む、管理職になる、それは否定しない。

むしろ望んで、そうなって、いま幸せならば言うことはない。

 

そしておれだって、

下戸を卒業してお酒をたしなめるならそうなりたいし、

おべっかとかではなく何かを成し遂げた人と酒の席を交わせるならそれは嬉しい。

興味が湧けばエロいお店にだって入ってみたいし、好きなところにドライブに行きたい。

 

ただおれは店長のようにはなりたくない。 

立場とか肩書きとかでは無く、他人の趣味を笑うほど否定したくない。

バイト代を飲酒に費やさない大学生がいても、話を掘り下げたい。

 

趣味趣向を笑われれば、その人は傷つくだろう。

趣味趣向を否定されれば、その人は辛いだろう。

 

人を傷つけて、辛い思いをさせて、自分だけが笑う店長がこの世には存在する。

ほんの2,3年前の話だ。